Jazz Summit Tokyo マネージャーの細井美裕(ミユ)です。

来たる4/24(日)14:00~、馬車道BankART Kawamata Hallにて行われるJazz Summit Tokyo vol.6 SPRING FESTIVAL。
テーマをCLASSIC×JAZZと題し、若手で活躍するミュージシャンにご出演いただきます。
彼らについて 少しずつではありますが、みなさまにご紹介させていただければと思います。

まずは上野耕平さんと中山拓海さん。

 

上野耕平

1992 年生まれ。茨城県東海村出身。8 歳 から吹奏楽部でサックスを始める。 2012年2月から3月にかけて、師である 世界的サクソフォン奏者須川展也氏の 「須川展也EXツアー2012」にゲスト出 演し全国各地で共演。高評を博する。ス コットランドにて行われた第 16 回世界 サクソフォンコングレスでは、ソリスト として出場し、イギリス王立ノーザン音 楽院吹奏楽団と、ピット・スウェルツの 難曲、「ウズメの躍り」で共演。世界の大 御所たちから大喝采を浴びた。 

 

中山拓海

1992年静岡県富士市に生まれる。5歳よりピアノを学び、12歳の時サックスとジャズに出会う。13年GUCCIタイムピーシズ&ジュエリー日本音楽基金より初の奨学生として選出される。同年夏、ロサンゼルスで開催されたグラミーキャンプに奨学金を受け参加。第44回山野ビッグバンドジャズコンテストにて最優秀を受賞、第18回太田市大学ジャズフェスティバルにて優勝、同大会2連覇を達成。

 

上野さんは最近報道ステーションで演奏されていたのが記憶に新しいですね。
今回ピアノでお二人と共演される松本佳子さんも急遽お越しいただけましたので、
上野耕平×中山拓海 たまに松本佳子 の対談でお送りします。

二人で話すからこその内容がちらほら。そして白熱しすぎて書けないこともちらほら。(笑)

 

それでは、どうぞ!

 

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細井美裕(JAZZ SUMMIT TOKYO):今日は普段のように話されている様子を紹介できたらな、と思っています。

なのでかっちりとQ&A形式ではないのですが、何もなく始まるのも難しいと思うので(笑)

ベタなのですが、お二人の最初の印象をお聞きしたいです。

 

上野耕平さん(以下敬称略):最初会ったのってどこだっけ? 

 

中山拓海さん(以下敬称略):覚えてるよ。

左:上野耕平さん。右:中山拓海さん。

左:上野耕平さん。右:中山拓海さん。

上野:最初に演奏聞いたのは覚えてるよ 。

 

中山:そうだね、大久保のBoozy Museに来てくれた。その前に藝大の藝祭で会ったのが初めて。その時はお互いに演奏聞いてないんじゃないかな。 

 

上野:僕はライブにいって バラードを聞いて泣きそうになった。泣きそうになることなんてほとんどないんだけど。曲名は覚えてないけど、歌心が素晴らしいなと思った。それが最初だったかな。 

 

細井:中山さんが最初に上野さんの演奏を聴いたのはいつか覚えていますか? 

 

上野:確かヤマハホールに聞きに来てくれたよね。 

 

中山:そうだそうだそうだ。 

 

細井:じゃあお互い聴きに行っていたんですね。 

 

中山:パンフレット持ってきたらよかった!サインもらったんだよ 

 

 

後日写真を送っていただきました。左上が上野さんのサイン。そして右上にはJAZZ SUMMIT TOKYO運営メンバーの石若駿のサインも。

後日写真を送っていただきました。左上が上野さんのサイン。そして右上にはJAZZ SUMMIT TOKYO運営メンバーの石若駿のサインも。

 

上野:懐かしいなぁ、3、4年くらい前かな。 

 

細井:4年前から知り合いで、お二人が一緒にやるのは今回が初めてですか? 

 

上野/中山:はじめて。 

 

上野:いつか一緒にやりたいなとは思ってて。いつどう誘おうかなと思ってて、そしたら今回こんな話(中山拓海×上野耕平プロジェクト)をいただいて。 

 

細井:いつか一緒に、というのは、どういうかたちで実現させたいなと思っていたんでしょうか?たとえばクラシックに中山さんを呼び込むのか、二人で新しいものに挑戦するのか。 

 

上野:ありのままの二人で何かやったら、何か違うものが生まれるかなあと思ってた。 

 

細井:じゃあ今回は良いタイミングでしたね! 

 

中山:うん。 

 

上野:楽しみ。 

 

中山:胸を借ります。 

 

上野:こちらこそ。(笑) 

 

細井:曲は、オリジナルですか…? 

 

中山:オリジナルを、、、書きます! 

 

上野:それがすごい楽しみ。 

 

松本佳子さん(以下敬称略):でも間に合わないから一緒に作ろうって話になってます!(笑) 

 

一同:笑 

 

上野:今回はパガニーニロストっていう、クラシックのサクソフォン二本とピアノの名曲があって。すっごい難しい。それを(中山さんに)吹いてもらおうと思って。 

 

細井:その曲をやるっていうのを悪巧み会で話していたんですね。 

 

(悪巧みの様子。)

 

上野/中山:そう。 

 

細井:曲の提案は上野さんから? 

 

中山:その曲に関してはもちろん。クラシックの曲にも挑戦したいなと思って。じゃあいっそのことその曲をやろうと。 それこそ小曽根さんとかはガンガンやってるから。 

 

細井:お互い挑戦という感じでしょうか? 

 

中山:そうだね。ジャズの曲もやってもらう。 

 

細井:コンサートの前に、曲に関してのヒントをすこし持っているだけでも聴く気持ちが変わりますね。Jazz Summit Tokyoは、「普段ジャズを聴かない人にも興味を持ってもらえるように」というのが目的の一つとしてあるので、クラシックに関しても今回のイベントを通して同じように興味を持ってきてくれる人が増えたら嬉しいですね。 

 

中山:そうだね。それもやっぱりお互いに一緒にやれたらいいなと思っている理由の一つで、僕も吹奏楽とかクラシックのサックスの人に(自分の演奏を)聴いてもらって、今の自分がどう思われるのかが気になるところもあって。

 

上野:聴いてほしいしね。クラシックしか聴かない人に彼(中山さん)の演奏を。 

 

中山:うん、逆も然り。 

 

細井:私の話になってしまうのですが、ずっとコーラスをやっていたんですよ。現代音楽に近いコーラス作品などを。私が知る限りでは、そのコミュニティの中ではコーラスの曲ばかり聴いている!という人が多くて。でもこの前DOMMUNEを見ていたらたまたま菊地成孔さんと大谷能生さんが武満徹さんや三善晃さんのレコードでDJをしていて("菊地成孔と大谷能生のJAZZDOMMUNE19")。私自身二人の作品は本当に何度も歌ってきたけれど、大学に入学するまではそういうインプットの機会もないからその二人の合唱曲しかしらなくて。今は他の作品も聴きますが、やっぱり普段自分が見たり聞いたりしていることのその先を知ることって必要だなと、漠然と思います。 

 

上野:まさにその吹奏楽に対する今の問題意識っていうのはそこにあって。吹奏楽部で終わってしまうというこの現状。我々は奇跡的にそこから先につながったけれど、9割以上はそこで音楽が終わりになってしまうというこの現状に問題があると思う。それはなぜかと考えたら、部活の中でしかやっていないっていう。音楽をやっているわけじゃなくて、ただ部活動をやっている。せっかく中高の数年間毎日楽器に触れているのに、その先にある楽しさに気付けないっていうのが問題点だなと思う。それをどうにかして変えていきたいなと思っていて。 吹奏楽に対してすごくそう思う。日本の吹奏楽はすごく盛んだって言われるけど、高校生以下で盛んなのであって。だから野球で例えたらおかしな話だよね。 

 

細井:中山さんはそういう問題をどこかに感じていたりしますか? 

 

中山:その点ジャズではそういう問題はないかも。部活みたいなものもすごく少ないし、そもそもの基盤がないからかなり自主的にやらないといけない。アメリカとかだとブラスバンドもあって、それと別にジャズのサークルみたいなのとか、マーチングバンドとかもあるんだけど、日本も中高のうちにそういう部活が増えればジャズの若い人のレベルはかなり高くなるんじゃないかなと思う。既にここ数年で音楽大学にジャズ科が出来て、ジャズをやる人が増えて、聴く人 特に若い人が減っている傾向で供給過多にあるなって前までは思っていたんだけど、でもそれはあるべき姿で。最近考え方が変わってきて、やる人が増えれば競争率が上がって魅力がなければ淘汰される。全体的に考えればマイナスなことではないのかなと思う。 

一方で、専業でプレイヤーとしてやっていかなくなる人たちが、プレイヤーたちと一緒に どうしたら聴く人が増えるかっていうことを考えていったらより良い方向にいくんじゃないかなと個人的には思っている。 

 

細井:今回のイベントで今まで受け身だった人たちが 積極的に何かをするきっかけになってほしいですね。 

 

中山:今話を聞いていて、たとえば今回僕の演奏を聴いて、ジャズをやりたいと思う中高生が増えたら、お互いにとって今挙げた問題点が解決されるような気がする。 

 

上野:まず聴くことだよ。まず聴くチャンスがそんなにない。知らないで終わっていく人たちがあまりにも多すぎる。知れば絶対に人生が豊かになるし、それが自分の好みに合わなければそれはそれでいい。 

吹奏楽部って、演奏会に行く時間があるなら練習してなさい、みたいなところがあって。でも練習も大事だけど、聴くことって練習するのと同じくらい大事だと思う。練習だけしてても絶対にうまくはならない。 

それを訴えかけて、まずは聴いてほしい。吹奏楽って、ジャズをやったりするじゃない。たとえばSing!Sing!Sing!とか。でも大半はジャズを聴いたことがない人たちがやるわけで。まず聴かないと、何にもわかんない。どう教えられても聴いてみないとわかんない。そう意味でも今回を良いきっかけにしたいな。 

 

細井:また自分の話をして申し訳ないのですが…合唱曲の中にも宗教曲、民謡、長唄があったりするんですね。でも、クリスチャンじゃない人たちがクリスチャンの歌を心から歌うことって難しいと思うんですよ。言葉の意味を知っていても。民謡も同じく、元の意味や生まれた背景がわからないと結局合唱曲のなかの民謡を歌うことになる。文化を伴う曲であればあるほど、曲の奥にあるものを知ろうとするべきだと思います。そうじゃないと全部こなしに入る。たとえば発声やらピッチやら技術的な部分でもこなす十分ハードルが高いから、それで満足しちゃう。 

 

上野:うん。錯覚してるんだよね。 

 

松本:クラシックって一歩間違えるとそうなりますよね。ただやるだけ、みたいな。 

 

上野:それで何かすごいことを成し遂げ気になって。 

 

細井:どういうときにそう感じますか? 

 

上野:特に音大生の演奏を聴くときそう思う。プロの演奏を聴いていてもたまに「あっ」て思うときはあるけどね。 

 

中山:結局教育だと思うけどね。それがたとえば長唄とか、やらないから。(Asian Youth Jazz Oechestraで)フィリピンに行ったときにさ、音大の授業で生田流の箏 とかまでやるの。もちろん自分たちの国の音楽のこともすごく知っているし、その楽器がどうで、リズムがどうでとか全部知ってて。アジア全体を考えて、中国や日本のことを勉強したりとか。それが必修科目らしい。だから日本もそういうふうになればいいなと思う。 

 

細井:日本の音大では少ないんですか? 

 

中山:うん。少ないと思う。(授業を)取れるところは取れるけど。義務教育でもそういう古来の文化に対するものは殆どないから。 

 

上野:ないね。うん、ないね。 

 

中山:だから日本の歌って特に若い世代の日本人の心にないし、下町とかじゃなきゃ盆踊りやお祭りはあまり馴染みがないし。自分もそういうことなく育ってきたから。やっぱりすごく日本のことを日本人として発信していきたいけど、そのためにはそういうことを勉強しないといけないんだよね。だからとっても不思議。 

 

細井:そうですね、勉強して自国の音楽をしても、ヨソの音楽になりかねない。

クラシックの音楽は、たとえばオーケストラで使われるような楽器や編成は、元々は日本のものではないからこそその文化を知ることが必要なんでしょうか。 

 

上野:元々が自分たちの文化じゃないっていうのもあると思うんだけど、僕はあんまり留学したいとは思わない。もちろん海外で空気を吸ったり経験することはすごく大事だし、絶対するべきだと思うけど、そこで間違ってはいけないと思うのは、ヨーロッパ人になろうとしなくてもいいんだということ。日本人にしかできないクラシックをすればいいとすごく思う。それを深く追い求めていったら日本人として勝負できるんじゃないかなと思う。  

 

松本:管楽器ってそういう考えが多いですか? 

 

上野:いや、たぶんそういうふうにはこわくて言えないよね。 

 

松本:私もどちらかというとそういうふうに考える部分が多いんですが、ピアノはやっぱりドイツかフランスかアメリカに行こう!ヨーロッパ人に近づけた方がいい、みたいな雰囲気があります。 

 

上野:いやいや、鼻低いんだから無理だよ(笑) 

 

一同:(笑) 

 

上野:だから自分たちにしかできない演奏をするっていうことが、演奏者の価値になる。 

 

中山:それ、留学して気づく人はいると思うけど、日本に居ながらにして気づくっていうのがおもしろいね。 

 

上野:見てて思う。 

 

中山:僕もすごい思うな。尊敬する先輩ミュージシャンが結構そういう考え方で音楽やっている人が多くて、その方が自分にとって魅力的だっていうだけなんだけど。 

 

上野:だから、自分みたいな留学経験の全くない人間が、海外でも活躍するのが何よりも証明になるなって思う。 

 

中山:そのとおりだね。海外にいって日本人らしいかたちで輝くというか、外から影響を受けるかもしれないけど、どこかにいって何かになるのではなくて 自分の中にある何かを見つけに外にいく、っていうのがいいよね。スガダイローさんとかそうだよね。 

 

細井:音楽を通していろいろなことを伝えるというのはもちろんなのですが、今回お話を聞いていて、こういうミュージシャンの話を届ける、という機会も大事だなと改めて思いました。 

 

上野:うん、だから必ずコンサートで自分で話すようにしていて。結構僕の演奏活動って、サックスを初めて聴く人とか、よくサックスのことがわからない人向けのものが多くて。だからその前にちょっと難しい現代曲のおもしろさとかをちゃんとしゃべって、ここがこうで、これがいいでしょ?みたいな。そういうことを話して聴いてもらうとすごく共感を得られる。そういう活動はこれからもしていきたいなと思う。聴けばわかるでしょ?みたいな演奏をしていたら、お客さんはもう置いていかれちゃう。そういうプレゼンをしつつやっていったら、聴いている人の人生が絶対豊かになると思う。 ヒントを与えるということだね。初めて聴く人にとってそれだけで入り込み方が全然違うと思う。 

 

細井:そういうことも含めてJazz Summitの活動をしていきたいと思います。 

 

中山:そうだね。 

 

上野:ここがおもしろい!っていう共感をしてもらえるとおもう。普段聴かない人がただ音を聴いただけでは想像もつかないから。もちろん100まで説明してしまったらおもしろくないからちょこっとだけね。聴く人の受け取り方によって違うから。 

 

松本:今回のジャズサミットはクラシックを普段聴く人と、ジャズを聴く人との良い懸け橋になりそうな演奏会ですよね。 

 

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お互いを長く知っているからこそ思うことが垣間見られたような気がします。

今回のイベントが初めての共演。彼らが何を企み、何を訴えてくるのか 本番が楽しみです。

 

当日の予約はこちらから!定員に達し次第締め切らせていただきます。
今回は世界三大ピアノブランドのうちのひとつ「BECHSTEIN」日本総代理店ユーロピアノ株式会社さまにご協賛いただくことになりました!

普段はクラシックのホールで聴くことがほとんどのベヒシュタインの音、今回はジャズと共演!
ご期待ください。

 

おまけ 取材終わりにリハ日程を決めるお三方。

 

 

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