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ご来場ありがとうございました!

JAZZ SUMMIT TOKYO Vol.7 WINTER FESTIVAL、終演いたしました。この2年間の取り組みが確実に次に繋がっていくと感じられる、特別な夜になりました。‬

‪ご来場いただき本当にありがとうございました。今後ともジャズサミットをよろしくお願いいたします。

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 【1st set】

[1]  Back To Back作曲:中山拓海

中山拓海(ss as)  山田丈造 (tp)  江﨑文武(piano) 澤近立景(acoustic guitar) 勝矢匠(wood bass) 山田玲(drums)

 

 

[2] UTA for JST作曲:石若駿 編曲 中山拓海

中山拓海(ss) 山田丈造 (tp)  桑原あい(piano) 勝矢匠(wood bass)  山田玲(dr)

 

 

[3] Untitled 作曲:桑原あい

桑原あい(pf) 中山拓海(as)  勝矢匠(el-bass)  山田玲(dr) 宮本貴史 vj 

 

 

[4] Deeeeeper 作曲:Ermhoi

Ermhoi (electronics) Nao Kawamura (vo) 山田丈造 (tp) 中山拓海 (as) 宮本貴史 vj 

 

 

[5] ES 作曲:澤近立景

Nao Kawamura(vo) 中山拓海(as) 山田丈造 (tp) 江﨑文武(key) 桑原あい(piano) 勝矢匠(el-b) 山田玲(dr) 宮本貴史 vj

 

 

【2nd set】

[1] Curiosity 作曲:澤近立景 作詞 : Nao Kawamura

Nao Kawamura(vo)中山拓海(as)山田丈造 (tp) 江﨑文武(key) 桑原あい(piano) 勝矢匠(el-b) 山田玲(dr) 宮本貴史 vj

 

 

 

 

[2] Untitled(remixed) 作曲:桑原あい

桑原あい(piano) Ermhoi (electronics) 中山拓海(fl)  宮本貴史 vj

 

 

[3] Christmas Medley 編曲:中山拓海

高岩遼(vo) 中山拓海(as) 山田丈造(tp) 澤近立景(el-gt) 桑原あい(piano) 勝矢匠(el-bass) 山田玲(dr) 

Let It Snow

Santa Claus is coming to town

The Christmas Song

Jingle Bell

 

 

[4] Baby It’s Cold Outside 編曲:中山拓海

高岩遼(vo) Nao Kawamura(vo) 澤近立景(ac-gt) 江﨑文武(piano)  勝矢匠(wood bass)  山田玲(dr)

 

 

[5] Side By Side 作編曲:中山拓海

高岩遼(vo) Nao Kawamura(vo)中山拓海(ss,as)山田丈造(tp)澤近立景(ac-gt)Ermhoi (electronics) 桑原あい(piano) 江﨑文武(piano,key) 勝矢匠(wood bass)  山田玲(dr) 宮本貴史 vj

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JAZZ SUMMIT TOKYO VOL.7 WINTER FESTIVAL 2016 開催決定!

JAZZ SUMMIT TOKYO VOL.7 WINTER FESTIVAL 2016

昨年度開催され話題を呼んだSUMMER FESTIVALから約一年半の月日を経て、
"90年代生まれのアーティストを中心に構成されたジャズフェスティバル"を今年も開催します!

会場は、50年の歴史を誇る老舗ライブハウス新宿PIT INN。
日本のジャズの中心地で、若手のスタープレーヤーたちが共演します!

そんな本フェスティバルの第一弾アーティストとして、以下の3名の出演が決定!

 ●Nao Kawamura

1992年4月11日生まれのシンガー、アーティスト
洗足学園音楽大学 卒業。R&BやJAZZをルーツに持ち、表情のあるヴォーカルで独自の世界観を創り出す。
現在は澤近立景(Gt)をプロデューサーに迎え共に活動中。2016年4月には渋谷JZ Bratにてワンマンライブを開催、同時に6曲入りEP "AWAKE"を発売。2016年 7月にはFUJI ROCK FESTIVAL '16 “ROOKIE A GO-GO”に出演。現在2017年発売予定EP制作中。
ソロ活動の他にも、SuchmosやSANABAGUN.、リベラルaka岩間俊樹やWONKでのコーラス、フィーチャリングでの参加もしている。

●澤近立景(さわちか たかひろ)
ギタリスト、アレンジャー、コンポーザー。ジャズをベースに様々なスタイルでの演奏や作編曲を得意とする。洗足学園音楽大学出身。Nao Kawamura、Yordan Markov ブルガリア五重奏団、宮﨑 薫、Pot Heads Plusなどに参加中。

2013年 柴田淳 Billboard / Blue Note Tour
2014年 上間綾乃 Tour / 情熱大陸フェス
2015年からはNao Kawamuraのプロデュースを始め、2016年 Fuji Rock Fes.に出演。

●勝矢匠(かつや たくみ)

1991年生まれ。湘南平塚育ち。14歳からエレキベースを独学で始め、明治学院大学入学後コントラバスを始める。
在学中よりアーティストのサポートやレコーディング、セッションライブに参加。
また名門、早稲田大学ハイソサエティオーケストラにてレギュラーベーシストを務め、山野ビッグバンドジャズコンテスト、太田市ビッグバンドジャズコンテストにて二年連続(2013,2014)優勝をする。
大学卒業後本格的にプロ活動を開始。
歌心を大事にした自由奔放なグルーヴを武器に様々なジャンルで活動。
2016年にはNao Kawamura Bandの一員としてフジロックに出演し活動の幅を広げている。


オーセンティックなジャズをルーツに持つ三人が、果たしてどんな共演を見せるのか?
乞うご期待ください!

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出演者インタビュー 額田大志(東京塩麹)

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出演者インタビュー 額田大志(東京塩麹)

JAZZ SUMMIT TOKYO細井美裕です。

明日開催の SPRING FESTIVALに向けたインタビュー記事、最終回は『東京塩麹』主宰の額田大志さん!

 

 

額田大志

1992 年 東京都出身。東京藝術大学 音楽学部で音楽制作を学ぶ傍ら、東京で唯一のミニマ ルミュージック楽団『東京塩麹』を主宰。これまでに三度の単独公演を行い、人力サラウンド楽曲や、ミニマル×ジャズなど、新たな音楽の可能性を追求。
高校在学中より都内でライブイベントを主催。企画から運営まで を完全に単独でこなし、ナタリーや OTOTOY といった Web メディアにも掲載され、音楽家 としてのみならず、イベントプロデューサーとしても注目を集めている。
また、大学入学後は舞台作品に傾倒。ダンス、演劇作品の作・演出・音楽や、その他の音楽 公演のプロデューサーとしても活動の幅を広げている。
web : http://www.nukata.tokyo/

 

最近では東京藝術大学を卒業される際に同声会賞も受賞。

そしてミニマルミュージック楽団として知られる東京塩麹は先日、タワーレコードなどで ”ビン詰め音源” なるものを販売。ますますその同行が気になるところです。

 

額田さんの知られざる(?)過去やこだわり、ミニマルミュージックに行き着くまでや、どういう思いで空間づくりに取り組まれているのかなど お話しいただきました。

 

 

 

***

 

 

 

**

 

 

*

 

 

 

細井美裕(JAZZ SUMMIT TOKYO):ずっと気になっていたのですが、東京塩麹ってロックバンドなんですか?

 

額田大志さん(以下敬称略):うん、まぁ、現代音楽(のミニマルミュージック)、というよりかはロックバンドですね。ロックでギターリフをひたすらくり返してる曲って結構あるんですけど、そういう文脈に一番近いとは思います。元々、僕がロックから音楽にのめり込んだのもあり。

 

細井:なるほど。今回のコンサート(東京塩麹も出演する、JAZZ SUMMIT TOKYO Spring Festival)のテーマは、『クラシックとジャズ』というものですが東京塩麹にそれらの要素は入ってきますか?

 

額田:そうですね…クラシックとジャズ、って、同じ音楽だけど必要な技術は全然違って、それでも割と共通項(生音の場合が多く、譜面を使って演奏することも多い、等)があるから、『クラシック×ジャズ』という企画自体が取り上げられる機会は沢山あるなと思ってて。

もちろん、クラシックとジャズだけでなく、それぞれの音楽スタイルによって重なり合う部分ってあるんだけど…『ベン図』みたいな。今回で言えば、東京塩麹の演奏者もそれぞれのスタイルがぐちゃぐちゃなので…クラシック、ジャズ、ポップス、ロック…あとラテンもいるかな。

 

細井:そうなんだ!ラテンまで!(笑)

 

額田:それだけ沢山混じった中で、まず『ベン図』の重なり合う部分を探して、音楽の方向性が定まった後に、それぞれの音楽領域が発揮できる部分を作って、最初は小さな共通項から生まれた音楽が徐々に拡張して、最終的には大きな円になる…ような。これ、答えになってますか?(笑)

 

細井:はい、大丈夫です!

 

額田:要は、(今回のテーマであるコラボレーションにおける)異種混合である必要性を考えたくて、ベン図の重なった部分になる折衷案を見つけた後に、どうやって、それを拡張していくか、それぞれの音楽に落とし込んでいくか。東京塩麹は、普段から演奏者のスタイルがバラバラなので、常日頃から考えているんですけど、スタイルの齟齬を越えてみんなで一つの音楽に向かってやるっていうのは、音楽の一つの理想的な在り方なんじゃないかなと思います。

 

細井:この回(SPRING FESTIVAL)だからこそやること、というのが目玉になってくるのかなと思うんですが、ライブに向けてはどのような準備を?

 

額田:そうですね…今回のようなショーケースライブに関して言えば、僕はとにかく全体の構成を考えるタイプです。

 

細井:うんうん。

 

額田:構成というのは、他のバンドがどういう音楽なのか…とか、全体の演奏時間がどれくらいなのか…とかによってバンドのカラーをとにかく合わせます。

 

細井:どの程度を(合わせる)?

 

額田:ワンマンライブではないので、当たり前ですけど自分ではコントロールできない部分がとても多くて、でも、できるだけ面白いイベントにしたいという思いが強いので、コンセプトだったり、セットリストであったり…かなり柔軟にやります(笑)

 

細井:なんかプロデューサーみたいですね。

 

額田:(笑)高校の時から、学外でイベントを企画していたこともあり、たくさんのイベントを見てきた中で、どんなに出演者が素晴らしくても、通してみたら飽きてしまったり、ということもあったりするので…そういうお客様視点の環境作りに、無意識に気が向いてしまう体質になってしまいました(笑)

なんかイベント会社みたいなインタビューですね…ワンマンライブの時はもっと自由で、全然作り方は違うのですが。

 

細井:ええ。

 

額田:とにかく、イベントに来てよかったなと思えるような40分にできたらいいなという感じですね。そうそう、最近、ずっと考えているのですが、『飽きる』って何だろう?と思って。

 

細井:というのは?

 

額田:演奏がどれだけ上手くても、聴いてると刺激に慣れてきて、充分に楽しめなくなる、というのが僕は頻繁にありまして、何を持って人は飽きを感じているのだろう?とずっと考えています。心理学ですが、もはや。

 

細井:あー、でもわかります。

 

額田:今回だと、(東京塩麹が)3バンド目で、きっとお客様の耳も刺激に慣れていると思うので、かなり練らないとな、と感じています。

 

細井:具体的には何かあるんですか?

 

額田:音楽の中でも、音色とリズムって、聴く人の視点からするとかなり大事だと思っていて、普段音楽をあまり聴かない人が、何を持ってこれが違う音楽を判断しているか…というとその2つが最も大きな要素なんです。

声は一人一人違うので、歌モノは比較的、差別化が容易だと思います。でも、東京塩麹に歌は入っていないため、リズムと楽器の音色変化ですかね。

この2つは特に大事にしていて、まずは(ショーケースライブの場合)主催者から与えられた時間をどう構成するか、というところからセットリストだったり、アレンジを決めていきます。

 

細井:ライブの雰囲気に合わせてメンバーも決めるという感じですか?

 

額田:そうです。

 

細井:他の出演者たちとはちょっと違う印象ですね。

 

額田:僕はもちろん音楽がやりたいんですが、空間を作りたい、という気持ちがかなり強いです。自分が(ライブに)出演しなくてもある程度満足できるのは、そういうところに由来しているのかなって思ってるんですけど。

自分のバンドが良いとか悪いとかよりも、イベント単位で楽しんでもらうことが大事だな、って思います。イベントが楽しければ、また足を運んできてくれるお客様も増えますし…

 

細井:本当、根っからのイベンターっぽいですね(笑)

 

額田:(笑) 一つの目標としては、自分の音楽がマイノリティだからこそ、あまり音楽を知らない人でも楽しめる空間にしたいなっていう思いがあって、ずっと。

それに、ライブとCDは全くの別物だと思っていて、ライブは時間と空間を常に気にしなければ、という気持ちがあります。それで演劇を作っている、ということもありますし。

 

細井:額田さんのライブのスタイルは、音と演出が半々というかんじなんでしょうか。

 

額田:むしろ演出ですね、もはや。曲はもう何でもいい、と言ったら嘘になりますが、面白い、と思える空間にすることを目標に動いています。

 

細井:じゃあ本当にお客さんに面白いと思わせる、方法としての演出なんですね。

 

額田:そうですね、というか音楽も、演出の方法論の一つかな。

 

細井:ほう?

 

額田:あの、曲は演出的に作る部分がかなり多くて、普段、音楽を余り聴かない人が、どうやって曲に対して意識を向けているか考えた時に、それって先ほどもお話ししたように、やっぱりリズムと音色かな、と思っていて。

 

細井:はい。

 

額田:自分のスタイルを貫きながらも、(観客が飽きると感じる)冗長率を短くする音楽的要素を適度に挿入している形ですかね。それって、もはや演出の領域かなと思います。

 

細井:なるほど、演出と音楽が乖離しているわけではなくて、組み合わさっているというか。

 

額田:うん。だから…これはまた反感を買いそうですが、例えばポピュラーミュージックにおいて、ソロがある曲って多いと思うんですが、僕にとっては、極論、『ソロが入ること』自体でOKなんです。ソロの内容も、もちろん大事なんですけど、そこに『ソロが入る』ということが、曲の演出として機能していると。

ポップスで8小節のギターソロとかも多様されているのは、冗長率を操作しているというのも一つなのかな…と思います。

時間軸の操作とも言えますね。何秒で音色が切り替わって、何秒でリズムが変わるとか、は、自分が音楽を聴くときも常に計算しています。

 

細井:東京塩麹は、楽譜に忠実に演奏してもらうというかんじでしょうか?

 

額田:はい。そうですね。全部楽譜通り。その方がいいんですよね、僕ライブによって差を作りたくないタイプで、全部一緒がよくて。

ジャンルによって、特にポピュラーミュージックは、日によって変わることも多いと思います。今日は良かったとか、あのMCが良かったとか。

 

細井:よく聞きますね。

 

額田:でも、全部操作したいんですよ。不安定な要素は全てなくしたくて。心配性なだけかもですが(笑)

とにかく僕は楽譜に全部書いて、この前のライブ(東京塩麹 第三回単独公演『リフォーム』。前半と後半で全く同じMCが異なる意味を持って反復された公演)もそうですけど、MCも全て決めてやる方がいい。

そういう意味ではクラシックの演奏者は再現性があるようにトレーニングを受けているので、やりやすいです。

 

細井:そうですね。

 

額田:再現性があるというのが重要なキーワードだなと。パッケージとして完成していて、それを別のところでやっても同じことができるっていう。普遍性という意味では大事だと。

 

 

 

《今回の東京塩麹》

 

 

細井:ちなみに、先ほど話題に出たラテンの演奏者はどのような方でしょうか?

 

額田:ラテンの演奏者は、佐藤仙人文弘さんです。

 

細井:…  えっと。(笑)

 

額田:佐藤は佐藤で、仙人は普通の仙人。

 

細井:はい…

 

額田:変わった楽器を沢山持っている同い年がいて。

 

細井:どこで出会ったんですか?

 

額田:(取材の段階では)僕会ったことないんですよ。

(写真ピンぼけですみません。)

(写真ピンぼけですみません。)

 

細井:!?

 

額田:会ったことないけど、Twitterで「乗りたいです!」って連絡きたので、それで。

 

細井:どんな人かわからない人を誘うのって、すごいですね。

 

額田:そうですね(笑)。ただ、冒頭にも話した『異種混合でもできること』を大事にしていてるのであんまり抵抗なく。あと、僕友達作るのが苦手なので…

 

細井:(笑)

 

額田:バンドを一緒にやったり、バンドだけじゃなくてイベントとかでもいいんですけど、演劇でも、ダンスでも、学校のグループワークでも。

 

細井:結構たくさんありますね。

 

額田:(笑) とにかく、何か一緒にモノ作りをやらないと、友達になれない…というのがありまして。すみません。

 

細井:いえいえ(笑)

 

額田:最近になって、日常会話こそ、一緒にモノ作りをしなくてもできるようになりましたけど、中学の頃とかはもう全然できなくて。

 

細井:だいぶ、変わったんですね。

 

額田:…で!音楽にのめり込んだもう一つの理由なんですけど、音楽って、しゃべらなくていいんですよ。楽譜さえあれば、演奏できるので。

 

細井:最悪、そうですね(笑)

 

額田:実際、一緒に演奏して良かったら、「こいつできる…」って。で、そこから仲良くなる。漫画みたいな感じですけど(笑)

 

細井:会話が生まれる。(笑)

 

額田:はい。ただ、今でこそ、口頭によるコミュニケーションの重要性を感じてはいますが…(笑)。でも、たぶん生まれや育ちが違っても、音でコミュニケーションができるのが音楽だなって。

あと、東京塩麹に関して言えば、奏者は誰でもいいんですね。

 

細井:えっ!?

 

額田:あっ、『誰でもいい』と言うと冷たいように思えるかもしれませんが、言い換えれば『誰でも演奏ができるバンド』ということです。

楽譜は、楽器の基礎練習のようなひたすら簡単なフレーズを反復する譜面ですし、極論、誰でも演奏できるんですね。

 

細井:はい。

 

額田:僕はバンドを通じて、というか音楽を通じてコミュニケーションが取れる、というのが面白いと思ってて、ミュージシャンでもジャンルが違うと中々出会うことって無いんですけど、そういうの取っ払いたいたくて。それに可能な限り永続的にバンドを続けたいので、メンバーが頻繁に変わっても対応できる何かしらのシステムを作る必要があるとも考えて、東京塩麹は、今の『年齢・性別・ジャンル・経験不問』になりました(笑)

(多くのロックバンドのような)スターシステムにしてしまうと永続生を保つのは難しい、だから誰でもできる音楽をやる、というのが一番の近道な気がしていて。

 

細井:確かに。

 

額田:乗りたい人は全員乗せたい。何度も言っていますが、誰でもできることをやっているので…もちろん技術が高いに越したことはないですけど、初心者でも頑張ればできることしか、譜面では要求しないようにしています。

 

細井:ふむふむ。

 

額田:初めての演奏者を乗せることに、多くのエネルギーを使いますけど、いつも以上に気を使ってメールを打ったりとか(笑)。でもそのエネルギー分の対価はあるなっていつも思うので、誰でもどうぞというスタンスですね。

 

細井:それは興味深いですね。

 

額田:あとはシンプルに、ミニマルやっている人が増えたらいいなっていうのはありますね。増やしたいって目標があるわけではないんですけど、増えたらいいなっていう気持ちは、やっている身としてはあるので。

実際、音大に通っていましたが、ミニマルを知ってる人って本当にいないんですよ。

 

細井:ええっ!

 

額田:全然いないです。「それって、小さい音楽ってことですか?」と、ミニマ“ム”と間違えられたり 笑。名前は知ってても聴いたことないとか。

 

細井:それは意外!

 

額田:これは僕の肌感覚ですが、ミニマルを愛聴しているのは、クラシックの演奏者よりも、ロックの人とか、あとは(大槻ケンヂの青春小説、サブカルのバイブルと言っても過言ではない)『グミ・チョコレート・パイン』に出て来るような人たちとか(笑)

だから、単純にミニマルが同世代を通じて広がっていくというのは、やりがいがあるなって感じる瞬間ですね。それが最終目標というわけでは全くないんですけど。

 

細井:同世代を通じて、っていうのがいいですね。横の繋がりって強いと思います。

ええと、メンバーの話に戻ってしまうんですが、あとはどんな方がいらっしゃるんですか?

 

額田:(専門としているスタイルが)クラシックからは戸原直くんが。ヴァイオリンです。彼は藝大のヴァイオリン専攻ですが、クラシックと他のジャンルの懸け橋になるようなプレイヤーになりたい、と言っていて。

 

細井:じゃあ実現しましたね今回!

 

額田:実現しましたね!(笑)

 

額田:チェロのは田辺純一さんっていう。同じく藝大で、先輩です。ただ、一緒に演奏するのは初めてなんですよね。田辺さんについては、人柄がいいな思ってお誘いしました(笑)

 

細井:人柄がいい(笑)

 

額田:このバンドはメンバーが多いので、コミュケーションを円滑に進めるためにも、人柄はかなり重要な要素です(笑)。もちろん、田辺さんはメンバーからの紹介もあったので、お誘いさせて頂きました。

 

細井:はい。

 

額田:あとはリズム隊ですね、ピアノの江崎文武、キーボードの高橋佑成、ベースの勝矢匠、ドラムの石若駿。ひとくくりにするのは良くないと思いますが、先ほどの2人とあえて比較するのであれば、4人はジャズを専門としたプレイヤーです。

 

細井:江崎さんは(額田さんの)大学の唯一の友達と聞いていますが...

 

額田:はい、まぁ…

 

細井:(笑)

 

額田:みんな素晴らしいプレイヤーです。内輪で褒めるのはちょっと格好悪いですが…

例えば、ドラムの石若くんの例で言うと、携帯の待ち受けが ”くるり” のジャケットなんですよ。”さよならストレンジャー” だったっけな。

やっぱりアンテナが広いし、石若くんはジャズミュージシャンとして語られることが多いけど、ジャズだけ、では全くなくて。ポップスの音楽の作り方で、リハを進めても成り立ったり。バンド的なマインドですかね。

意思疎通がすごくできて、多くの音楽を聴いて、演奏しているから、引き出しもあって。そういうことって、純粋な演奏技術と同じくらい大事だと思っています。

もっと言うと、技術がなくても引き出しの数が1億個あるとか(笑)、それでも僕はいいと思うけど、石若くんはその両方が素晴らしくて、いつも感謝しています。

 

細井:額田さんは、バンドをやっているというよりは、東京塩麹を通してコミュニティーをつくっているようだなと話していて感じるんですが、そういったことは考えていますか?

 

額田:その通りだと思います。もともとコミュニティーをつくりたいというのはすごくあって。

たぶんJAZZ SUMMIT(の運営)をやっているのも塩麹をやっていたから、参加した、という経緯もありますし。

 

細井:そうですね。

 

額田:演劇をはじめたのも近い理由(コミュニティーを拡張したい)がありまして。

もともと、東京塩麹は “渋さ知らズ” みたいにしたかったんですよ。“渋さ知らズ” のWikipediaを見ると、ミュージシャンの一覧が書いてあるんですよ。そういうのがいいなあと思って。

“渋さ知らズ”は(曲の多くが)ユニゾンだし、クラシック的なアンサンブルじゃないので。

 

細井:ああ~、みんなでできるっていう。

 

額田:そう!そういうのを大事にしたかったんです。技術がどうっていうよりもマインドだなと思って。

しかも”渋さ”は演出もめちゃくちゃで 笑。暗黒舞踏の人たちが何人も踊ってたりとか。単純にダンスミュージックとしても素晴らしくて。

 

細井:ノれるんですね。

 

額田:そうそう、ライブはただ踊り狂うっていう!笑

 

細井:額田さんのコミュニティーで出会った人たち同士でまた何かが始まったりしたらおもしろいですね。

 

額田:すいません、“渋さ知らズ” の話もうちょっとしていいですか? 

 

細井:はい(笑)

 

額田:“渋さ知らズ”がジャズかどうかは置いておいて、ジャンルがどうこうとかじゃなくて、聴き方として同時代的というか。今の時代に合ってる、というのが大事なんじゃないかな、と話してて思いました。

 

細井:というのは…?

 

額田:昔からある音楽のスタイルの良さもわかるけど、今だったらこういうことなのかな、っていう落としどころ。

例えば、クラシックの1時間くらいある交響曲は、今の時代のマジョリティである4分のポップスに比べたら客観的に長いじゃないですか?クラシックは眠くなる、みたいなことをよく言う方は多いのですが、それは中世ヨーロッパの音楽の聴き方と、2016年の聴き方は全然違うと思うから、感想としては決して間違ってないと感じてて。

 

細井:はい。

 

額田:それでも1時間の交響曲を、より多くの人に体験して欲しいのであれば、つまりある種マイノリティなものを、マジョリティに押し上げたいのであれば、少なくとも同時代的な聴き方にフィットするように提示しなきゃなんじゃないかと思います。

 

細井:うんうん。

 

額田:渋さ知らズの例で言うと、プレイヤーはジャズミュージシャンで曲も長めですが、魅せ方と音楽スタイルのごった煮感で、唯一無二の空間を演出していて。

フジロックのトリで出てたりもするし、そう考えると、暗黒舞踏とか、難解そうに見えるものを時代の空気に合わせて提示した、素晴らしいアーティストなんじゃないかな、と思いました。

 

(このあと、Youtubeで渋さ知らズをしばらく観る。額田さんの渋さ知らズ愛を感じました。)

 

 

 

 

 

 

《ノイズとオザケン》

 

細井:ロックから音楽にのめり込んだと伺いましたが、なぜミニマルに興味が移ったんですか?

 

額田:なんでだろうな… やっぱりロックが自分には向いてないと思ったからです。

銀杏BOYZの峯田さんとか、あとは、(ZAZEN BOYSの)向井秀徳さんとかを見てて、「あー…この人たちみたいにはなれない」って、高校に入って、直感的に気付きました。

 

細井:ヘえ〜。

 

額田:もちろん努力が前提にあるんですけど、生まれ持った天性みたいなものがないとだめなんだなっ…と思いまして。

でも、音楽は続けたかったので、どうしようかな~と考えたときな、まず学校で一番音楽に詳しくなろうと思って(笑)

ひたすら音楽を聴く、みたいな生活を始めてました。

色んなジャンルに触れていく中で、ノイズミュージックが好きになったんですね。理由は、音のかっこよさで売ってるから。演奏者のかっこよさではなくて。

 

細井:(笑)

 

額田:ノイズと…あと、オザケンが好きだった。

 

細井:ノイズとオザケン!?

 

額田:同じ理由です。

オザケンも、好きだからこそ言いますが、かっこよくはないじゃないですか?ルックスが…

 

細井:まぁ…(笑)

 

額田:今夜はブギーバックのライブ映像とか、なんであんなに、 くねくねしてるのにキャーキャー言われてるんだろう、って思って(笑)

で、かっこよくない人でも、純粋に評価してくれる音楽ってなんだろうって。僕は(服とか髪型とか)見た目に無頓着で、興味が湧かなかったので、うおー!っと引き込まれましたね。

もちろん、ルックスで売ってなくてもかっこいいロックミュージシャンはたくさん人はいるんですけど。竹内電気とか、先ほどの向井秀徳さんとか、あとサンボマスターとか。それは一旦置いといて…(笑)

 

細井:はい(笑)

 

額田:基本、マジョリティに分かりやすく食い込むには、ビジュアル、もっと拡張すると『魅せ方』に重きを置かれていて、もちろんそれって社会生活を営む上では、何だろうと結果的に大事 なんですけど、当時はヴィジュアルを極めるのはできないなと思ってて。

それでどんどんアヴァンギャルド方面の音楽を聴くようになって…音大に入ってミニマルに没入して。入る前から知ってたんですけど、自分で作るようになって好きになりました。自分のコンプレックス的なところでハマった理由の一つです。

 

細井:音楽としてはどうですか?

 

額田:音楽的なところでいうと、昔から凝り性なところがあって。漫画雑誌の組立て付録とか、プラモデルを作るのがすごい好きで。

とにかく、何かを組み立てるのがすごい好きなんですよ。いろんな音楽を作っていく中で、ミニマルって最も建築的だと思って。

 

細井:はい。

 

額田:音を積み重ねて、ずらしたりとか。重ねたり抜いたり。僕は楽譜で作るので、視覚的にもわかるんですね。スコアにすると、ちゃんと音符のズレが見える。

たぶん楽譜を作るのが、プラモデルと近いというか、ミニマルだと最も直感的に組み立てができるのが、音楽的にハマった理由ですね。

 

細井:パズルみたいな。

 

額田:まさにそうです。

 

 

 

 

 

 

《最後に》

 

細井:それぞれ前の記事で 自分たちの活動する”ジャンル”というものについて意見が挙がっていたんですが、額田さんは周囲に何か意見したいことはありますか?ポジティブネガティブ問わないのですが。

 

額田:うーん、僕の周りが何をやっているか、一言では言えないんですけど、作る側が もっと領域横断的になればいいなと思います。

演劇に片足を突っ込んで思ったのは、僕らが普段やっている音楽は、本当にほとんど誰も聴いていないんだな(笑)ということです。逆もしかりだと感じましたが…

 

細井:はい。

 

額田:こんなに面白いのに、狭い世界で成り立ってるのか!と、改めて感じて。

 

細井:そうかもしれないですね。

 

額田:だから、もっと同世代で領域横断的に作品を作りたいです。今は特に。

先ほどのミニマルミュージックの認知が、音大でもかなり少ないように、とにかく、一度文化として成り立ったものが、文化でなくなってしまうと感じてて。それは時代が経つにつれ、仕方のない側面もあるんですけど、面白いと思っている文化を、同時代性を持った公演なり作品にしないと、消えてなくなってしまう気がして。

一昔前だと、例えば現代演劇は、現代音楽と深く結びついていましたが、今では演出家が音楽を選曲したり…というのも多くて、それが悪いわけじゃないんですけど、異なる分野のプロフェッショナルが、もっとリアルに結びついていかないと、シーンどんどん狭く、小さくなっていくと思って。その危機感が、すごくあります

 

 

 

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音をとりまく空間まで操作したいという額田さん。東京塩麹のライブに行ったことを思い出すと、納得の言葉です。

「ライブに行く」という観客にとってはシンプルな行為でも、その空間を提供する側には本当に多くの視点が必要。

今回のインタビューを通して 額田さんの生み出す空間に興味を持ってくださった方はぜひ ライブに足を運んでみてください。

 

もちろんSPRING FESTIVALでも!

 

それではみなさま、明日、会場でお待ちしております!

  

 

 

 

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出演者インタビュー 坂東祐大

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出演者インタビュー 坂東祐大

 

JAZZ SUMMIT TOKYO 細井美裕です。

暖かくなってきましたね!今回は4/24(日)馬車道BankART開催のSPRING FESTIVAL、過ごしやすい季節にお散歩がてら 素敵な音を聴きに来ていただけたらと思います。

(今回はなんとベヒシュタインピアノが会場に!普通のホールやジャズライブでは聴くことのできない音をぜひ。)

 

前回の上野耕平さん×中山拓海さんの記事はご覧いただけましたでしょうか?
SPRING FESTIVAL 2回目の出演者インタビューでは、坂東祐大さんにお話を伺いました。

坂東祐大

1991年大阪府生まれ。東京芸術大学附属音楽高等学校を経て、東京芸術大学作曲科を首席で卒業。同修士課程作曲専攻修了。作品はフランス放送フィルハーモニー管弦楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー、芸大フィルハーモニア、いずみシンフォニエッタ大阪、Art respirant, LAPS Ensemble, Ensemble Multilatérale, Ensemble Muromachi, Juliette Hurel, Benoit Fromangerなどによって、国内外で多数演奏されている。長谷川良夫賞(2012年)、アカンサス音楽賞(2013年)、第83回日本音楽コンクール入賞。第25回芥川作曲賞 受賞。作曲を野田暉行、安良岡章夫、野平一郎 ピアノを中井正子 各氏に師事。

 

 

 

同世代だからこその視点なのでしょうか、上野さんと中山さんの対談でも挙がった内容が今回も登場します。

ミュージシャンが普段何を考え、何に興味を持って音楽をしているのか、覗いてみてください。

 

 

 

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江﨑文武(JAZZ SUMMIT TOKYO):今回の坂東さんのバンドはどういう形になりそうですか? 

 

坂東祐大さん(以下敬称略):あ、全然言ってなかったですよね、バンドでやろうと思ってて。

(石若)駿と(コントラバス奏者の)地代所 悠くんに一切コントラバスを弾かせずエレベを弾いてもらって、マグナムトリオの多久潤一朗さんと僕で。多久さんはフルートで、僕はまだ何をするか決めてないという状態です。

が、とにかく膨大にトラックを作ってます。Ableton liveを使うことだけは確定してるんだけど、その中でサンプラーを叩くかキーボードを叩くか、あるいはリアルタイムで何かいじるかみたいな。

いろいろやろうと思っていますが、ジャンル的には現代音楽の息がかかったブラックミュージックみたいな。

 

江﨑:おお~。

 

坂東:現代音楽の要素がほとんどないに近い感じになりそうです。前PIT INNでやったのはもっと現代音楽寄りだったんですけど、

 

江﨑:そうですね。 SoundCloudにもあがってた。

 

 

坂東:そうそうそう。あれはいい意味でも悪い意味でも散らかりすぎていたので、ちょっと整理してやってみようと。

今回は特にリズムに特化して、ポリグルーヴということなんですけど。

昨今のブラックミュージックにおいては5連符だ変拍子だなんだとか何とか言われてますが、正直いうとグルーヴはめちゃめちゃかっこいいんだけどポリとか変拍子に関してはまだまだぬるいと思ってて。

 

一同:笑

 

坂東:でもそういうスキルって譜面じゃないとできないスキルなんだよね。現代音楽でやたら培われてきたところがあるし。たぶん、フランク・ザッパの一味とかがそういうの得意だと思うんだよね。メンバーのスティーブ・ヴァイとかきちんと譜面よめて完璧にできるらしいんだけど

でもプログレにはしたくなくて。リズム遊びみたいなところでどうにかできないかと探ってるという感じ。

 

江﨑:はい。

 

坂東:じゃあなんでそんなことをやるかというと、ここ3~4年くらい思っている課題の一つに、記譜じゃ越えられない限界、みたいな問題があって。

基本的に(坂東祐大名義で)僕が活動している現代音楽のフィールドというのはクラシックの延長線上にあるものなので、記譜で完璧に100%書かれていて、それ以上のことはない、みたいな。

図形楽譜などなど例外的な現代音楽のスタイルもたくさんありますが、僕のは書かれているもので。

そこで生き生きとした音楽を作るためには、リズム、もっというと「訛り」とか「グルーヴ」を再現できるように記譜して作曲家の指示のひとつとして確定させたいんだけれども、

それを記譜するのはほぼ不可能なんですね。そういうものは奏者に完全に投げちゃっているという状態。

作曲家側がいかに0.0何秒の揺らぎを書こうとしても無理なんですよ。例えばウィンナーワルツの1拍目と2拍目、3拍目のタイミングを32分音符やめっちゃめちゃ細い連符を使ってなんて書けないし。そもそもそういうことじゃない。 

それは奏者が勉強をしてきたものに負っていることなので、そういうことじゃなく、何かしらの打開策を見つけたいというのがずっとあって、いろいろなことをやっているんですけど。

その課題を克服するためにいろいろアプローチを研究してみたいなというところですね。

あと、一見差別的な発言とも捉えられかねないんだけど、日本人にはリズムに関して越えられない壁みたいなものがあると思うんですね。

でもどこかしら打開策というか、自分がまだ隙間を突けれるところはあると思うので、自分ができる範囲で、今回のJazz Summitにはまるのは ポリグルーヴで、ポリリズムでおもしろいことをやってみよう、みたいな感じかな。

 

江﨑:なるほど。前回の上野さんや中山さんのインタビューで、彼らは、「日本人の越えられない壁というよりかは、日本人はその壁を越える必要がないんだ」という前提のもとに語っていたなという印象があって。

 

坂東:ああ、なるほど。

 

江﨑:坂東さんの今回のプロジェクトは、日本人が「超えられない壁」を超えるために、人間が感覚的に処理している部分を、譜面上の緻密な指示でコントロールしてみる、ということに近いんでしょうか。 

 

坂東:そんなかんじです。アドリヴとかはたくさんあるけどね。超えられるとか超えられないってすごい主観的な話という気がしないでもないけど、でも、リズムっていうのはDNAとかその人のルーツにかなり寄っていると思うし、例えばジャンルにおいても絶対そうな気がしていて

クラシック以外の人がクラシックっぽくやるとすごく気持ち悪かったりすると思うんです。 ものにもよるけど、逆に他のジャンルの人がクラシックの曲をアレンジしましたってすごく気持ち悪く聴こえちゃう。個人的にはあんまり好きじゃないです。

“型"を身に付けねば型破りにはなれない”の話じゃないけど、勉強していって崩すっていうのはまたちょっとちがうので。

完全にプログレみたいになっているのもそれはそれで面白いものもあるけど、中途半端に寄せているものはあんまり好きじゃない。

対位法とか和声とか知らずに感覚だけで、小手先でやられちゃうとかなりつらいな、というのは伝統としてのクラシック音楽を勉強してきた身としては結構あって。

 

江﨑:そうですね。僕もすごく思うのが、僕たちって一応日本人だけど、いわゆる「東洋のルーツ」みたいなものが骨の髄までいきわたっているかというと、音楽という切り口に限って言えばそういうわけではないなと思っていて。きっとビートルズを小さいときから聴いて育ってきた、みたいな人のほうが多いんだろうなと。生まれたときから西洋音楽にまみれてたなって思います。けれども、未だに超えられない壁があると考える人は多い。そういうわけで、音楽文化間の超えられないなにかってどこから来るんだろうって考えた時に、やっぱりそれって言語に由来するのかな、って思うんです。

例えばドイツ語圏では定冠詞ってのがあって様々に格変化しますが、これが “アウフタクトの感覚” と繋がっているのでは?なんて話もあって。実際にアウフタクトの “良し悪し” ってものがあるらしいんです。

音楽と言語だったり、音楽とその他の文化が、音楽の表現の“幅”の話と複雑に絡み合ってる。

 

坂東:僕は実際、J-popじゃないほうの邦楽とか、毎回聞くたびに新鮮な感じがするんですよね。時間感覚がグラグラになって。ルーツであってもおかしくないはずなんだけど、恥ずかしながらあまり身体に入ってない感じで。

そういう日本のルーツをものすごく熟考されて作曲されてる方もいらっしゃるし、所謂名作も数多あるんだけど、ただYouTube世代ど真ん中の僕がする必然性もあんまりないと思ってて。

あと実際クラシックってすごいリズムが悪いんですよね。ピッチと音質に関するものがまず先決で、リズムっていうのが一番弱いところだと思う。客観的に見てね。全くすべてが悪いとは言わないけど。

オーケストラ全員が♩=120のテンポで寸分の狂いもなくリズムを共有してきっちり演奏できますかと言われたら そういうジャンルじゃないじゃないですか。

その中で、クラシックがメインフィールドの僕みたいなひとが、他のジャンルに対してのアプローチをするときは、何かその折衷案を絶対に見つけないといけなくて。それがどこにあるかっていうのはまだまだ探っている状態です。

 

江﨑:なるほど。リズムとクラシック奏者に関しては額田くん(24日のイベントにも出演する、ミニマルミュージック楽団・東京塩麹主催)も自分の経験から意見があるんじゃないかな、と思うんだけど。

 

額田大志(東京塩麹、JAZZ SUMMIT TOKYO):そうですね…今、坂東さんがおっしゃっていたように、客観的に他のジャンルと比べると弱いとは思います。

 

坂東:弱いよね~、やっぱりね~。

 

額田:僕の主催している『東京塩麹』という楽団は、普段はジャズとかロックのプレイヤーで結成しているのですが、数年前にクラシックのプレイヤーを集めて演奏したことがありまして…その時に、結構苦戦したというのもあるんですけど。

ただ最近、というか24日のイベントはクラシックの演奏者も多く参加していまして…これまで色々試した中で、リズムの『ゆらぎ』がなければ、ジャンルの垣根を越えた演奏者が集まっても成り立つなと思っています。

楽譜は超絶技巧を一切必要としない、ある程度の演奏能力があれば誰でも弾けるものにして、とにかく簡略化して、メトロノームにかっちり合わせて。まぁ、繰り返しが多いので、手が疲れたりとか 筋肉痛になったりはするんですけど 笑

そういうフィジカルなものに特化しているので、あまり具体的なグルーヴみたいなものは廃して、フラットなビートの上で進行するものをやることは、一つの折衷案なんじゃないかな…と。

 

坂東:なるほど。

 

額田:先ほどおっしゃっていました『0.0何秒のグルーヴ』、を要しない音楽をやるというので、楽団としては一旦落ち着いています。

 

 

 

 

 

 

《何をもって踊れるのか?》

 

坂東:何をもって踊れるのか?というのは興味を持っているところで。この一年くらい興味を持ってるんですけど。

拍子がなくてもグルーヴって生み出せるんじゃないかってずっと思ってて。

それこそ4/19日に上野くんのサックスの曲でやっているのがそれですね。(補足:B to Cというイベントで今回のイベントに出演する上野耕平さんに坂東さんが書き下ろした楽曲。)

拍子のないところから生み出したグルーヴで踊れるんじゃないかっていう。一周回ってる発想なんですけど。

拍子がなくても絶対に踊れる、気持ち良くいられるっていうのを追求しているところで。

僕はそれは結局身体の話だと思っていて。そのサックスの曲で試したのは、「呼吸」というところから入っていって、そこをひたすら変容させていくというところなんだよね。

呼吸から入ると人間は一緒に呼吸しだすので。お客さんの100人中1人くらいは寝てるかもしれないけど(笑)。そこでグルーヴみたいなものが見つけられるんじゃないかっていうことを現代音楽の中で試したりしている、という感じです。

ひとつの解決案としてはそこかなあ。

 

江﨑:呼吸で…呼吸で踊れるんですね。 

 

坂東:ヨガとか呼吸法じゃない。

 

江﨑:そうですね、確かに。

 

坂東:空手とか踊ってるみたいじゃないですか。ずっと呼吸してるし。

 

江﨑:太極拳とか。

 

坂東:そうそうそう。東洋系は呼吸なイメージがあります。アフリカに行けば行くほど下半身に重心があるイメージ。あんまり詳しくないから嘘かもしれないんだけど(笑)実際日本以外のアジアの国行ったことないし、アフリカ大陸に降り立ったことないし笑

でも呼吸の問題ってずっとあるはずで。言葉があるってことは絶対呼吸法も一緒になっているし。作曲家のハインツ・ホリガーとかジェラール・グリゼーとかも呼吸法について研究してた人だから。

これはもっと突き進めると緊張と弛緩の問題でもあるんだよね。フレージングに直結したり、言語とも密接に関わるんだけど。

どの楽器についてもあるはずなんだよね。ピアノにもピアノの呼吸法があるし、弦楽器にもアップダウンがあるし、管楽器は絶対あるし、ハープにもあるはずで。

どこかしら呼吸があるはずだから、そこをコントロールする みたいなのはグルーヴというか新種の打開策のひとつなんだけれども、、、これは今回はやりません! 

 

一同:(笑)

 

江﨑:グルーヴというものがなんたるかを解き明かすことが今坂東さんが探求されていることで、

解じゃないかと思ったことを今いろんな角度から試行しているという感じでしょうか。

 

坂東:そんなかんじ。いろんなテーマがあるんだけど、特に興味をもっているのはグルーヴ。

ライブに行ってすごくハイになっているときの感じのそれを再現したいんだよね。

 

江﨑:今でもD'Angeloのライブの帰りがけに坂東さんからめちゃくちゃメッセージ来たの覚えてます。(笑)

 

坂東:あああ~~。あれやばかったよね。あれやばかったよ。

 

 

 

 

《ジャズ?》

 

坂東:今回僕全然ジャズじゃないけどごめんなさいね。そもそもが現代音楽の作曲家なので、、、

 

細井美裕(JAZZ SUMMIT TOKYO):ジャズで縛り始めたら広がらないから…

 

江﨑:うん。

 

坂東:そうだね。”今ジャズ”に垣根はないよね。

 

江﨑:僕らもジャズって何なんだろうって話を何度かしていて。今のところそうだよね、となっているのは

「今いる立ち位置から外に逃れようとする力」そのものがジャズなんじゃないかっていう話をみんなでしていて。

 

坂東:うん、なるほど。

ジャズって商業音楽な面とアートな面があって、そういうところがすごく良いところなんじゃないかとずっと思っているんですけど。

ジャズでもアカデミックな人たちもいるじゃないですか。でも仮に今R&B専門の学校があったとしてもそこまでアカデミックにはならないはずなんですよね。

ジャズはジャンルとして古典が確立してる感があるので アカデミックな人たちもいて、というところがあると思っていて。

hip-hopはまだストリートの文化だし、R&BとかSoulとかだとちょっと商業音楽になっちゃうから。

そうなったときに、ジャズってそういう(アカデミックな)捉え方もできるなという感じはすごいするなあ。

 

江﨑:アカデミックな要素を持ちうるかどうかって、単純に歴史があるかないかっていうことなんですかね。

 

坂東:どうなんだろうね。よくわかんないな。かといって現存するすべての民族音楽がアカデミックの領域に入るかというと、(和楽器などの)邦楽は入っているけれども

例えば地歌とかもっとローカルな口承伝統みたいなものは入ってないじゃん。

確か沖縄にはあるんだよね、沖縄の民族音楽を音楽学部で勉強できる、みたいなのはあるんだけど、全世界的に見てどうかは僕はちょっとわからないな。

他の領域に関して言ったら、ヨーロッパのコンセルヴァトワールには絶対あるのに、日本のコンセルヴァトワールたる芸大には演劇科とか舞踏科とか服飾科とかまだ無いしね。

まぁいろんな事情はあるんだと思うんだけど。

 

 

 

 

《クラシックと補助金》

 

坂東:これ、(平田)オリザさんが言ってたことで、僕もずっと思っているんだけど、こんなにいろんなジャンルがあるのに クラシックがなぜ優位なのかという問いに

明確な答えが見出せないんだよね。

 

江﨑:はい。

 

坂東:”なんで補助金がおりるの?ー素晴らしいから。”って、それだけじゃ全く理由付けにならないじゃないですか。

 

江﨑:そうですね。

 

坂東:しかも日本の伝統のものじゃないのになぜ(補助金を)やらなきゃいけないの?っていうことに有効な答えを持っている人が誰一人といないっていう。

お金がかかりすぎるからってなったら、じゃあやめろって誰かに言われちゃうわけですよね。

でもそれを守っていかないといけないっていう意識はあるんだけど、じゃあなんでそうなってるかということを言語化できる人って数少ないはずで。

 

江﨑:そうですね、本当にそうなんですよね。方や、歌舞伎なんかは、劇場収入やメディア露出なんかで、実はかなり自立できている伝統文化なんだと聞きました。

たしかにかつてのクラシック音楽は外交的にも重要な意味を持っていたのかもしれないけど、今やこの国にオーケストラなんてごまんとある。

僕自身も、藝大という環境で過ごしながら、クラシックがなぜエライのか、保護されなきゃならないのか、は分かりません。

 

坂東:僕も明確に出せる答えがない。いろんな著名な音楽家やマエストロが補助金くださいって言ってるけど、じゃあなんでクラシックだけって言われてもどこかしら理論武装しきれてない感じがあるよね。

例えばこれがドイツだったら、ドイツの文化を守らないといけない というのでおしまいじゃない。

文化助成費の何割かって日本の場合は修復材にいってるんだよね。

 

額田:半分が文化保護と言われていますね。

 

坂東:残り少ない中で音楽のなかの多くをクラシックが取っていくことに、僕が仮に官僚だったとしたら…うんって言えない、みたいな気持ちがどこかしらにあるんだよね。

なぜなら他のジャンルでもアートになってる作品や活動をしている音楽家ってたくさんいるし。下手したらジャンル差別みたいなことになりかねないと思うんだよね。

ただ先端研究として新しいものを作っていくということに関してまだまだやる意味や可能性ってあると思うから、そうなったときに現代音楽とかは新しいクリエイションをするのは立ち向かえるなと思ってる。

それは多分商業ベースでは絶対にできないことだし、先端研究として、ということなんだけど。

 

江﨑:うーん。

 

坂東:もっとこの問題に関していろいろ考えていかなきゃいけないよね。僕も全く結論が出てないです。

 

《最後に今回のJAZZ SUMMITに向けて一言》

 

坂東:くどくどと遠回りしたりしていろいろ話してきましたが、クラシックとか現代音楽とブラックミュージックの折衷案というとネガティヴな言い方だけど、

折り合いをつけられる場所で遊んでみるっていうのが自分としてはちょっと面白そうだなということで、当たって砕けろ的な実験精神でがんばってやってみたいと思います。

 

 

 

***

 

 

 

**

 

 

 

*

 

 

クラシックの演奏者と距離が近い坂東さん。クラシックやそれを取り巻く環境に対して様々な観点から話されてるのがとても印象に残りました。

本番はどのようなパンチをかましてくれるのでしょうか。

 

そして最後の最後にひとつ発表を…

文中に登場した 坂東さん書き下ろしで上野耕平さんが演奏された楽曲が今回演奏されることに!

呼吸から生まれるうねり、実際に体験するしかないです。

 

ご予約はこちらから!

お待ちしております。

 

 

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出演者インタビュー 上野耕平×中山拓海

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出演者インタビュー 上野耕平×中山拓海

Jazz Summit Tokyo マネージャーの細井美裕(ミユ)です。

来たる4/24(日)14:00~、馬車道BankART Kawamata Hallにて行われるJazz Summit Tokyo vol.6 SPRING FESTIVAL。
テーマをCLASSIC×JAZZと題し、若手で活躍するミュージシャンにご出演いただきます。
彼らについて 少しずつではありますが、みなさまにご紹介させていただければと思います。

まずは上野耕平さんと中山拓海さん。

 

上野耕平

1992 年生まれ。茨城県東海村出身。8 歳 から吹奏楽部でサックスを始める。 2012年2月から3月にかけて、師である 世界的サクソフォン奏者須川展也氏の 「須川展也EXツアー2012」にゲスト出 演し全国各地で共演。高評を博する。ス コットランドにて行われた第 16 回世界 サクソフォンコングレスでは、ソリスト として出場し、イギリス王立ノーザン音 楽院吹奏楽団と、ピット・スウェルツの 難曲、「ウズメの躍り」で共演。世界の大 御所たちから大喝采を浴びた。 

 

中山拓海

1992年静岡県富士市に生まれる。5歳よりピアノを学び、12歳の時サックスとジャズに出会う。13年GUCCIタイムピーシズ&ジュエリー日本音楽基金より初の奨学生として選出される。同年夏、ロサンゼルスで開催されたグラミーキャンプに奨学金を受け参加。第44回山野ビッグバンドジャズコンテストにて最優秀を受賞、第18回太田市大学ジャズフェスティバルにて優勝、同大会2連覇を達成。

 

上野さんは最近報道ステーションで演奏されていたのが記憶に新しいですね。
今回ピアノでお二人と共演される松本佳子さんも急遽お越しいただけましたので、
上野耕平×中山拓海 たまに松本佳子 の対談でお送りします。

二人で話すからこその内容がちらほら。そして白熱しすぎて書けないこともちらほら。(笑)

 

それでは、どうぞ!

 

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* *

 

* * *

 

細井美裕(JAZZ SUMMIT TOKYO):今日は普段のように話されている様子を紹介できたらな、と思っています。

なのでかっちりとQ&A形式ではないのですが、何もなく始まるのも難しいと思うので(笑)

ベタなのですが、お二人の最初の印象をお聞きしたいです。

 

上野耕平さん(以下敬称略):最初会ったのってどこだっけ? 

 

中山拓海さん(以下敬称略):覚えてるよ。

左:上野耕平さん。右:中山拓海さん。

左:上野耕平さん。右:中山拓海さん。

上野:最初に演奏聞いたのは覚えてるよ 。

 

中山:そうだね、大久保のBoozy Museに来てくれた。その前に藝大の藝祭で会ったのが初めて。その時はお互いに演奏聞いてないんじゃないかな。 

 

上野:僕はライブにいって バラードを聞いて泣きそうになった。泣きそうになることなんてほとんどないんだけど。曲名は覚えてないけど、歌心が素晴らしいなと思った。それが最初だったかな。 

 

細井:中山さんが最初に上野さんの演奏を聴いたのはいつか覚えていますか? 

 

上野:確かヤマハホールに聞きに来てくれたよね。 

 

中山:そうだそうだそうだ。 

 

細井:じゃあお互い聴きに行っていたんですね。 

 

中山:パンフレット持ってきたらよかった!サインもらったんだよ 

 

 

後日写真を送っていただきました。左上が上野さんのサイン。そして右上にはJAZZ SUMMIT TOKYO運営メンバーの石若駿のサインも。

後日写真を送っていただきました。左上が上野さんのサイン。そして右上にはJAZZ SUMMIT TOKYO運営メンバーの石若駿のサインも。

 

上野:懐かしいなぁ、3、4年くらい前かな。 

 

細井:4年前から知り合いで、お二人が一緒にやるのは今回が初めてですか? 

 

上野/中山:はじめて。 

 

上野:いつか一緒にやりたいなとは思ってて。いつどう誘おうかなと思ってて、そしたら今回こんな話(中山拓海×上野耕平プロジェクト)をいただいて。 

 

細井:いつか一緒に、というのは、どういうかたちで実現させたいなと思っていたんでしょうか?たとえばクラシックに中山さんを呼び込むのか、二人で新しいものに挑戦するのか。 

 

上野:ありのままの二人で何かやったら、何か違うものが生まれるかなあと思ってた。 

 

細井:じゃあ今回は良いタイミングでしたね! 

 

中山:うん。 

 

上野:楽しみ。 

 

中山:胸を借ります。 

 

上野:こちらこそ。(笑) 

 

細井:曲は、オリジナルですか…? 

 

中山:オリジナルを、、、書きます! 

 

上野:それがすごい楽しみ。 

 

松本佳子さん(以下敬称略):でも間に合わないから一緒に作ろうって話になってます!(笑) 

 

一同:笑 

 

上野:今回はパガニーニロストっていう、クラシックのサクソフォン二本とピアノの名曲があって。すっごい難しい。それを(中山さんに)吹いてもらおうと思って。 

 

細井:その曲をやるっていうのを悪巧み会で話していたんですね。 

 

(悪巧みの様子。)

 

上野/中山:そう。 

 

細井:曲の提案は上野さんから? 

 

中山:その曲に関してはもちろん。クラシックの曲にも挑戦したいなと思って。じゃあいっそのことその曲をやろうと。 それこそ小曽根さんとかはガンガンやってるから。 

 

細井:お互い挑戦という感じでしょうか? 

 

中山:そうだね。ジャズの曲もやってもらう。 

 

細井:コンサートの前に、曲に関してのヒントをすこし持っているだけでも聴く気持ちが変わりますね。Jazz Summit Tokyoは、「普段ジャズを聴かない人にも興味を持ってもらえるように」というのが目的の一つとしてあるので、クラシックに関しても今回のイベントを通して同じように興味を持ってきてくれる人が増えたら嬉しいですね。 

 

中山:そうだね。それもやっぱりお互いに一緒にやれたらいいなと思っている理由の一つで、僕も吹奏楽とかクラシックのサックスの人に(自分の演奏を)聴いてもらって、今の自分がどう思われるのかが気になるところもあって。

 

上野:聴いてほしいしね。クラシックしか聴かない人に彼(中山さん)の演奏を。 

 

中山:うん、逆も然り。 

 

細井:私の話になってしまうのですが、ずっとコーラスをやっていたんですよ。現代音楽に近いコーラス作品などを。私が知る限りでは、そのコミュニティの中ではコーラスの曲ばかり聴いている!という人が多くて。でもこの前DOMMUNEを見ていたらたまたま菊地成孔さんと大谷能生さんが武満徹さんや三善晃さんのレコードでDJをしていて("菊地成孔と大谷能生のJAZZDOMMUNE19")。私自身二人の作品は本当に何度も歌ってきたけれど、大学に入学するまではそういうインプットの機会もないからその二人の合唱曲しかしらなくて。今は他の作品も聴きますが、やっぱり普段自分が見たり聞いたりしていることのその先を知ることって必要だなと、漠然と思います。 

 

上野:まさにその吹奏楽に対する今の問題意識っていうのはそこにあって。吹奏楽部で終わってしまうというこの現状。我々は奇跡的にそこから先につながったけれど、9割以上はそこで音楽が終わりになってしまうというこの現状に問題があると思う。それはなぜかと考えたら、部活の中でしかやっていないっていう。音楽をやっているわけじゃなくて、ただ部活動をやっている。せっかく中高の数年間毎日楽器に触れているのに、その先にある楽しさに気付けないっていうのが問題点だなと思う。それをどうにかして変えていきたいなと思っていて。 吹奏楽に対してすごくそう思う。日本の吹奏楽はすごく盛んだって言われるけど、高校生以下で盛んなのであって。だから野球で例えたらおかしな話だよね。 

 

細井:中山さんはそういう問題をどこかに感じていたりしますか? 

 

中山:その点ジャズではそういう問題はないかも。部活みたいなものもすごく少ないし、そもそもの基盤がないからかなり自主的にやらないといけない。アメリカとかだとブラスバンドもあって、それと別にジャズのサークルみたいなのとか、マーチングバンドとかもあるんだけど、日本も中高のうちにそういう部活が増えればジャズの若い人のレベルはかなり高くなるんじゃないかなと思う。既にここ数年で音楽大学にジャズ科が出来て、ジャズをやる人が増えて、聴く人 特に若い人が減っている傾向で供給過多にあるなって前までは思っていたんだけど、でもそれはあるべき姿で。最近考え方が変わってきて、やる人が増えれば競争率が上がって魅力がなければ淘汰される。全体的に考えればマイナスなことではないのかなと思う。 

一方で、専業でプレイヤーとしてやっていかなくなる人たちが、プレイヤーたちと一緒に どうしたら聴く人が増えるかっていうことを考えていったらより良い方向にいくんじゃないかなと個人的には思っている。 

 

細井:今回のイベントで今まで受け身だった人たちが 積極的に何かをするきっかけになってほしいですね。 

 

中山:今話を聞いていて、たとえば今回僕の演奏を聴いて、ジャズをやりたいと思う中高生が増えたら、お互いにとって今挙げた問題点が解決されるような気がする。 

 

上野:まず聴くことだよ。まず聴くチャンスがそんなにない。知らないで終わっていく人たちがあまりにも多すぎる。知れば絶対に人生が豊かになるし、それが自分の好みに合わなければそれはそれでいい。 

吹奏楽部って、演奏会に行く時間があるなら練習してなさい、みたいなところがあって。でも練習も大事だけど、聴くことって練習するのと同じくらい大事だと思う。練習だけしてても絶対にうまくはならない。 

それを訴えかけて、まずは聴いてほしい。吹奏楽って、ジャズをやったりするじゃない。たとえばSing!Sing!Sing!とか。でも大半はジャズを聴いたことがない人たちがやるわけで。まず聴かないと、何にもわかんない。どう教えられても聴いてみないとわかんない。そう意味でも今回を良いきっかけにしたいな。 

 

細井:また自分の話をして申し訳ないのですが…合唱曲の中にも宗教曲、民謡、長唄があったりするんですね。でも、クリスチャンじゃない人たちがクリスチャンの歌を心から歌うことって難しいと思うんですよ。言葉の意味を知っていても。民謡も同じく、元の意味や生まれた背景がわからないと結局合唱曲のなかの民謡を歌うことになる。文化を伴う曲であればあるほど、曲の奥にあるものを知ろうとするべきだと思います。そうじゃないと全部こなしに入る。たとえば発声やらピッチやら技術的な部分でもこなす十分ハードルが高いから、それで満足しちゃう。 

 

上野:うん。錯覚してるんだよね。 

 

松本:クラシックって一歩間違えるとそうなりますよね。ただやるだけ、みたいな。 

 

上野:それで何かすごいことを成し遂げ気になって。 

 

細井:どういうときにそう感じますか? 

 

上野:特に音大生の演奏を聴くときそう思う。プロの演奏を聴いていてもたまに「あっ」て思うときはあるけどね。 

 

中山:結局教育だと思うけどね。それがたとえば長唄とか、やらないから。(Asian Youth Jazz Oechestraで)フィリピンに行ったときにさ、音大の授業で生田流の箏 とかまでやるの。もちろん自分たちの国の音楽のこともすごく知っているし、その楽器がどうで、リズムがどうでとか全部知ってて。アジア全体を考えて、中国や日本のことを勉強したりとか。それが必修科目らしい。だから日本もそういうふうになればいいなと思う。 

 

細井:日本の音大では少ないんですか? 

 

中山:うん。少ないと思う。(授業を)取れるところは取れるけど。義務教育でもそういう古来の文化に対するものは殆どないから。 

 

上野:ないね。うん、ないね。 

 

中山:だから日本の歌って特に若い世代の日本人の心にないし、下町とかじゃなきゃ盆踊りやお祭りはあまり馴染みがないし。自分もそういうことなく育ってきたから。やっぱりすごく日本のことを日本人として発信していきたいけど、そのためにはそういうことを勉強しないといけないんだよね。だからとっても不思議。 

 

細井:そうですね、勉強して自国の音楽をしても、ヨソの音楽になりかねない。

クラシックの音楽は、たとえばオーケストラで使われるような楽器や編成は、元々は日本のものではないからこそその文化を知ることが必要なんでしょうか。 

 

上野:元々が自分たちの文化じゃないっていうのもあると思うんだけど、僕はあんまり留学したいとは思わない。もちろん海外で空気を吸ったり経験することはすごく大事だし、絶対するべきだと思うけど、そこで間違ってはいけないと思うのは、ヨーロッパ人になろうとしなくてもいいんだということ。日本人にしかできないクラシックをすればいいとすごく思う。それを深く追い求めていったら日本人として勝負できるんじゃないかなと思う。  

 

松本:管楽器ってそういう考えが多いですか? 

 

上野:いや、たぶんそういうふうにはこわくて言えないよね。 

 

松本:私もどちらかというとそういうふうに考える部分が多いんですが、ピアノはやっぱりドイツかフランスかアメリカに行こう!ヨーロッパ人に近づけた方がいい、みたいな雰囲気があります。 

 

上野:いやいや、鼻低いんだから無理だよ(笑) 

 

一同:(笑) 

 

上野:だから自分たちにしかできない演奏をするっていうことが、演奏者の価値になる。 

 

中山:それ、留学して気づく人はいると思うけど、日本に居ながらにして気づくっていうのがおもしろいね。 

 

上野:見てて思う。 

 

中山:僕もすごい思うな。尊敬する先輩ミュージシャンが結構そういう考え方で音楽やっている人が多くて、その方が自分にとって魅力的だっていうだけなんだけど。 

 

上野:だから、自分みたいな留学経験の全くない人間が、海外でも活躍するのが何よりも証明になるなって思う。 

 

中山:そのとおりだね。海外にいって日本人らしいかたちで輝くというか、外から影響を受けるかもしれないけど、どこかにいって何かになるのではなくて 自分の中にある何かを見つけに外にいく、っていうのがいいよね。スガダイローさんとかそうだよね。 

 

細井:音楽を通していろいろなことを伝えるというのはもちろんなのですが、今回お話を聞いていて、こういうミュージシャンの話を届ける、という機会も大事だなと改めて思いました。 

 

上野:うん、だから必ずコンサートで自分で話すようにしていて。結構僕の演奏活動って、サックスを初めて聴く人とか、よくサックスのことがわからない人向けのものが多くて。だからその前にちょっと難しい現代曲のおもしろさとかをちゃんとしゃべって、ここがこうで、これがいいでしょ?みたいな。そういうことを話して聴いてもらうとすごく共感を得られる。そういう活動はこれからもしていきたいなと思う。聴けばわかるでしょ?みたいな演奏をしていたら、お客さんはもう置いていかれちゃう。そういうプレゼンをしつつやっていったら、聴いている人の人生が絶対豊かになると思う。 ヒントを与えるということだね。初めて聴く人にとってそれだけで入り込み方が全然違うと思う。 

 

細井:そういうことも含めてJazz Summitの活動をしていきたいと思います。 

 

中山:そうだね。 

 

上野:ここがおもしろい!っていう共感をしてもらえるとおもう。普段聴かない人がただ音を聴いただけでは想像もつかないから。もちろん100まで説明してしまったらおもしろくないからちょこっとだけね。聴く人の受け取り方によって違うから。 

 

松本:今回のジャズサミットはクラシックを普段聴く人と、ジャズを聴く人との良い懸け橋になりそうな演奏会ですよね。 

 

***

 

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*

 

お互いを長く知っているからこそ思うことが垣間見られたような気がします。

今回のイベントが初めての共演。彼らが何を企み、何を訴えてくるのか 本番が楽しみです。

 

当日の予約はこちらから!定員に達し次第締め切らせていただきます。
今回は世界三大ピアノブランドのうちのひとつ「BECHSTEIN」日本総代理店ユーロピアノ株式会社さまにご協賛いただくことになりました!

普段はクラシックのホールで聴くことがほとんどのベヒシュタインの音、今回はジャズと共演!
ご期待ください。

 

おまけ 取材終わりにリハ日程を決めるお三方。

 

 

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ブルーノートジャパンさん企画のJAZZ AUDITORIAウェブサイトにパートナーとしてご掲載いただきました!

4/24(日)14:00~ 馬車道BankART Kawamata HallにてSPRING FESTIVALの開催を控えたJazz Summit Tokyoよりお知らせです!(予約はこちらから!)

タイトルにもあります通り、ブルーノートジャパンさん企画のJAZZ AUDITORIAウェブサイトにパートナーとしてご掲載いただきました!

光栄な機会をいただけることが増えてきた近ごろですが、運営一同気を引き締めて活動していきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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リワードの発送が完了しました!

JAZZ SUMMIT TOKYO広報の杉浦です。

 

タイトルの通り、リワードの発送が本日完了いたしました!

ご支援いただいた皆様には、ご心配をおかけし大変申し訳ございませんでした。

今回はリワードの1つ、JAZZ SUMMIT TOKYO READYFORオリジナルTシャツの作成模様お届けします。

 

 

 

某日、某氏の自宅に集合した運営メンバー。

1枚1枚、手刷りでTシャツにプリントを施していきました。

(アイロンをかける運営メンバーぬかた)

(アイロンをかける運営メンバーぬかた)

完成したのがこちら。

JAZZ SUMMIT TOKYOのロゴが、前面にどーん。

シンプルで着やすそうです。

 

他のリワードに関しては、届いてからのお楽しみということで。

到着までもう少々お待ちくださいね!

 

 

そして。

次回のJAZZ SUMMIT TOKYOの開催日も決定しました!

2016年1月24日(日)です!

会場、時間等の詳細は追って公開します。

リワードのTシャツを着て、是非お越しくださいね!

 

 

これからもJAZZ SUMMIT TOKYOはジャズシーンを盛り上げるべく活動して参りますので、引き続きのご支援を宜しくお願いします!

 

それではまた。

 

 

JAZZ SUMMIT TOKYO広報 杉浦


<リワードに関して>

   数日以内にリワードが届かない場合は、READYFORのメッセージ、もしくはJAZZ SUMMIT TOKYOのWebよりご連絡ください。

   リワードの1つである限定Tシャツは、全てメンバーによる手刷りで作成しております。Tシャツ毎に少々模様が異なる場合がありますので、ご了承ください。

   またJAZZ SUMMIT TOKYO主催ライブ3回分のフリーパスをご購入の方には、ライブ開催時に毎回JAZZ SUMMIT TOKYOからご連絡し、3回無料でご案内いたします。3度ご来場いただけるまで、ライブ開催時に継続してご連絡いたしますので、宜しくお願いします。


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クラウドファンディングをご支援頂いたみなさまへ


お世話になっております、JAZZ SUMMIT TOKYO実行委員会です。

 

11月上旬に発送を予定しておりました、リワード(引換券)に関しましてご連絡差し上げました。

 

現在、リワードの1つである、『ライブレコーディングCD』の最終チェックに想定以上の時間を要しております。

そのため、CDを含む全てのリワードの発送時期を、約一ヶ月遅らせた“12月中”とさせて頂ければと思います。

 

できる限り高いクオリティを持って皆様にお届けできますよう、チーム一丸となって鋭意制作中です。もう少々お待ち頂けますと幸いです。

 

大変申し訳ございませんが、何卒ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

 

JAZZ SUMMIT TOKYO 実行委員会




(リワードCDジャケット画像)

(リワードCDジャケット画像)

 

 

久々の更新になってしまい、申し訳ございません。

JAZZ SUMMIT TOKYO広報 杉浦です。

 

リワードに関して、ご支援者の皆様にはご迷惑・ご心配をおかけしております。

JAZZ SUMMIT TOKYO SUMMER FESTIVAL 2015が成功したのは、紛れもなくご支援者様のおかげでございます。

そんな皆様を不安にさせてしまっているのは、すべて私たちの不徳の致すところでございます。

大変申し訳ございません。

 

作業は、着実に進んでおります。

次のJAZZ SUMMIT TOKYOについても、企画が動いております。

12月までもう少しだけ、お時間をいただければと思います。

 

皆様のご期待に添えるよう全力で取り組んで参りますので、引き続きお引き立ての程よろしくお願いします。

 

JAZZ SUMMIT TOKYO広報 杉浦

 

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JAZZ SUMMIT TOKYO 最近の一コマ

どうも!

JAZZ SUMMIT TOKYO広報 杉浦です。

 

肌寒い日が多くなってきましたね。

 

“光陰矢の如し”とはよく言ったもので、

JAZZ SUMMIT TOKYO SUMMER FESTIVAL 2015から早1ヶ月半。

「あれ、そういえばJAZZ SUMMIT TOKYOってどうなったの?」

と、ご心配されている方。ご安心を!

我々、ちゃんと活動しております。

 

今回は、JAZZ SUMMIT TOKYOの最近の様子をご紹介します。

 

 

某日、運営メンバーが集合し、READYFOR?でご支援いただいた方へのお礼の手紙を執筆しておりました。

 

 

そう、手書きで。

一枚一枚、運営メンバーが思いを込めて書きました。

※一人、息抜き中。

※一人、息抜き中。

 

 

総計、約100枚。

 

 

手書きの手紙って、一番時間のかかるコミュニケーションだと思うんです。

 

便箋と封筒を買って、文章を考えて、

「なるべく綺麗に」って緊張しながら書いて、

切手を貼って、封をして、

ポストに投函、2~3日で到着。

 

すごい時間がかかりますよね。

 

かかった時間の分だけ、感謝の思いを込めています。

 

JAZZ SUMMIT TOKYO SUMMER FESTIVAL 2015が開催できたのは、他ならぬご支援頂いた皆様のお陰でございます。

皆様に直接お会いし、お礼を申し上げることが出来ない代わりに、

少しでも感謝の気持ちが届くよう、筆を執り、思いを書に記しました。

 

そんな、我々からの(ちょっぴり字は汚いかもしれない)手紙が届くまで、

もう少々お待ち下さい。

他のリワードについても、鋭意準備中ですので・・・!

ご心配なく。

 

 

本日は以上です!

それではまた。

 

 

JAZZ SUMMIT TOKYO広報 杉浦

 

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出演者インタビュー⑥ 細井さん・西本さん

ご無沙汰しております!

JAZZ SUMMIT TOKYO広報・杉浦です。

 

前回の更新から間が空いてしまい申し訳ないです。

しかし、ご安心を。

JAZZ SUMMIT TOKYOメンバーはしっかり活動しています!

メンバーの近況報告はまたの機会に。

かく言う私も、取材をしてきております。

今回は、JAZZ SUMMIT TOKYO SUMMER FESTIVAL 2015で演出を担当していただいた、細井美裕さん・西本桃子さんのインタビュー記事を掲載します。

 

早速どうぞ!

 

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・お二人の今までについて

 

額田(JAZZ SUMMIT TOKYO):まず、簡単で構いませんのでお二人の今までの活動を教えていただけますか?

 

西本桃子さん(以下敬称略):私はもともと舞台に携わっていました。大学に入って、演劇で舞台照明をやり始めて、そのうちもっと可能性を広げていきたいなと思うようになって。そんな中、Rhizomatiksのみなさんに出会って刺激をもらい、今は修行中という感じですね。

 

額田:じゃあ大学に入ってからいろいろやり始めて、って感じなんですね。

 

西本:そうですね。

 

額田:じゃあ細井さんは・・・?

 

細井美裕さん(以下敬称略):私は元々コーラスをやっていて、歌っている中で(コーラスの)見せ方 が一様だな、っていうのをすごく思っていて。いつか自分でいろいろなコーラスの見せ方、聴かせ方ができたらいいな思っていた時に、ある作品を見たんです。それは全然コーラスとは関係ないんですけど、(今までとは)違う音や気配の見せ方をする、みたいなもので。音とか舞台の見せ方を考えるっていう意味で圧倒されて、それを作った人たちに会いに行ったら、そのまま作品のサウンド部分を担当していたQosmoに入れてもらえることになりました。

 

杉浦:どこで出会ったんですか?

 

細井:作品のことを調べていたら、作った人たちが国立新美術館でワークショップをやることを知って、それに参加したんですね。で、それが終わった後に「こういうの作りたいんですけど!」って話をしたら、次の日に「アシスタントやる?」ってなって・・・。

 

杉浦:ええ!すごいですね!

 

細井:ほんと突撃で、よくやったなって言われます。でも、あの時話しかけてなかったら、今何やってるのかわからない・・・。(笑)

 

 

 

・今回の演出について

 

額田:今回の演出はどのように作っていったんですか?

 

西本:私が普段やっていることは、工学的な要素や科学技術をどう作品に昇華させていくか、っていうことなんですが、今回はジャズの演出をするということで、自分の中に漠然とあるジャズのキラキラした素敵なイメージをそのまま作りたいな、っていうのが一番最初に頭に浮かびました。元々、舞台をやっていたこともあって、そういう(演出の)イメージをまず作って、それをSuperDeluxeという会場に馴染ませるには、というように考えてスタートしました。

 

額田:キラキラしたイメージというのは?

 

西本:なんか・・・赤いベルベットが垂れてて、で、ライトがこう・・・温もりのある・・・(笑)

 

額田:それはディズニーシーのビックバンドビートみたいな・・・?

 

西本:あ!そうですね、確かに。(笑)恥ずかしながら、ジャズを生で聴いたことがあまりなくて。

 

額田:現状、確かに気軽にジャズライブに行けるとは言い難いですよね。

 

西本:漠然と自分の中にある、ジャズってこうなんじゃないの、っていう、ディナーショウの感じというか、そういう素敵な雰囲気を出せればいいな、っていうのを一番に考えていました。

 

細井:そこは話さずとも一致していた部分ではありました。すごい高度な技術を持ち込んでほしい、みたいな話でもなかったので。それを扱える責任もないっていうのもあるんですけど・・・。あくまでもメインは演奏者である、っていう前提を踏まえて、演出をどうするか考えていく、っていう感じですかね・・・

 

西本:自分の近くに、技術に関しては圧倒的に勝てない存在がいたから・・・

 

細井:そうそう。(笑)

 

西本:そこに単純に技術で勝負しても勝てないな、っていうのがあって。だから自分たちで考えられるベースで、自分たちの感性が一番表出しているもの発信でないと、(演出として)持ちこたえられないな、という。

 

細井:あ、一番最初に二人で話した時は、Qosmoのオフィスで、何時間くらいかわかんないですけどYouTubeでジャズの動画を見まくるっていうのをやってました。(笑)

 

杉浦:ええ!(笑)

 

細井:編成がもう決まってたので、出演者の手癖を見たくて、ももちゃん(=西本さん)と・・・(笑)

 

西本:あと、ちょいちょいVictoria's Secretのランウェイや、スーパーボールのハーフタイムショウとかを見たりして・・・(笑)

 

額田:(笑)

 

西本:「この照明やばい!すごくない!?」とか言いつつ、「この要素を入れて・・」と話し合いながら、初めにイメージを作っていくようにしてました。

 

細井:動画見まくるタイム良かったよね!

 

 

 

額田:では次に。コンセプトを考えた後に、具体的にどういった技術を使って今回の演出を行ったのかを教えていただけますか?

 

西本:いつもは、インプットとアウトプットを何にするか、ということを発想の起点にして考えていくんですね。今回はインプットに生でしか取れない要素が多すぎるというか、初めから分かっているものがないということで、お手軽に取れるというか、確実に取れるのがドラムの音だろうと。ドラムにセンサーをつければ、ベースはできる。では次にアウトプットを何にしようって考えた時に、私は照明をやっていたので、じゃあそのまんま照明につなげちゃおう、と。それを基礎にしたものがあれば、ひとつとりあえず成り立つものができるんじゃないか・・・っていうような感じで作っていきましたね。難しいことはあんまり考えてないっていう・・・。(笑)

 

額田:じゃあ音を光に変換するようなシステムを・・・

 

細井:そうですね。(ドラムに付ける)センサー部分はスポンジみたいなもので。ドラムの面に付けてしまうと鳴る音が変わっちゃうから、石若(駿)さんにダメって言われるかな、って思ってたんですけど、「オッケーオッケー」みたいな感じだったので良かったです。(笑)

 

額田:石若さんは、前向きに協力してくれますよね!(笑)

 

細井:フロアとスネアとキックに(センサーを)つけさせてもらって、その振動の信号をMacに持って行き、そこからDMX(=照明や舞台効果を制御する為の通信プロトコル)を送っていました。そのDMXから最後(=照明)まで、ももちゃんがやる・・という流れです。(アウトプットを)照明でやったことによって、ひとつのコンテンツを作りつつ、空間として演出もできたので、すごく良かったです。

 

西本:テクニカル感があんまり出ないところが、ね。照明っていうひとつのくくりに収めてしまってるので、裏事情があまり見えないところが割と素敵だったなと思います。

 

細井:本番終わった後、「(照明とドラムが)同期していることに最後まで気づかなかった!」と言われて。でもそれぐらいでいいのかなって思いました。(笑)

 

額田:確かに。「テクノロジーを使ってるんだぞ!」ってあからさまな感じよりも・・・

 

細井:そうそう。気付く人は気付くし気付かない人は気付かない、っていうのがなんか良かった。

 

西本:お客さんが観ていて、違和感はないけど、リズムに合ってる照明を作るのって実は結構難しいんですよ。お客さんが「え、なんか、これ・・・。」みたいな違和感を持たせない、っていうのは難しいんですよね。すごく考えていることろです。

 

額田:はい。照明じゃないんですけど、僕も似たようなことを音楽でやったことがあるのでわかります。やっぱり、「今めっちゃキメてるな。」ってわかると、カッコ悪いですからね。自然な流れでやるのが良いと僕も思います。

 

西本:「おかしかったよね。」って一回も思わせなければ、照明としてのベースは成り立ってる気がします。良かったです。

 

額田:では次に。これからJAZZ SUMMIT TOKYOとしては、もっと何かを結びつけて、ポップっていう言い方は違うんですけど、ジャズをハイカルチャーの中心地として、色々なものを巻き込めるようなものにしていきたいというのがありまして。お二人から見て、ジャズとこういうものを一緒にやったら面白いんじゃないかとか、私たちだったらこういうこともできる、というような意見を頂ければと思うんですが・・・。

 

細井:やっていて思ったのは、本番まで何が起こるかわからないジャズらしさは大切にしたいのですが、私達だけだと、何を軸にするのがベストなのか曖昧な場合、どうしても普段やっていることをベースに考えてしまうので・・・。お互いが「やってください。」と一方的に思っているのではなくて、双方向に言い合う場があったらもっと面白くなるんじゃないかなって思います。

 

杉浦:もうちょっと演出側とミュージシャン側がお互いに意見を言い合って、考えた方がいいんじゃないかっていう・・・

 

西本:あ、でもその時間は欲しかった!

 

細井:今回は(共演の寺久保エレナさんが)海外にいらっしゃったのと、他の出演者さんも日本中を飛び回っているのも既に知っていたので、話し合いはほぼできないことを承知のうえで進められました。(JAZZ SUMMIT TOKYOと共に)ムーブメントを起こそうとしてるわけだから、(ミュージシャン側にも)なにか希望が絶対にあるわけじゃないですか。なので次回以降はその希望を話し合う時間があるだけで、また違うアウトプットができるかもしれないな、と思います。修行不足もあり、悩んでしまう時があったので・・・。そういう時はYouTubeを観てたんですけど・・・。(笑)もっとグイグイ聞くべきでした。

 

 

 

額田:そうですね。もう少しお互いが話せる時間を設けられたら良かったかもしれません。その点は申し訳なかったなと反省しています。続いて、JAZZ SUMMIT TOKYO SUMMER FESTIVAL 2015全体を通して、感想というか、今まで思っていたジャズライブと比べてどうだったかを、良し悪しを含めて教えていただけますか。

 

西本:私は・・・あの熱狂ぶりにちょっとびっくりしました!

 

細井:あんなに人が出るとは思わなかった・・・!(笑)

 

西本:あ、こんななんだ!って、結構衝撃でした。

 

細井:ももちゃんが面白かったのは、開演前、舞台のすぐ横で準備してたんですけど、「こんなに人って前に来るんですね!」って(笑)

 

西本:「こんな音ってデカイんですね!」って。(笑)結構衝撃が大きかったですね・・・!私の中の勝手なイメージは、なんかちょっと小綺麗なホールに、スーツ着た大人たちがいて、すごいニコニコしながら踊ってるみたいな・・・そういう、微笑ましいというか・・・若者から見ると、ちょっとシュールじゃない?みたいな感じにさえ思える光景だと思ってたんですけど・・・

 

細井:普通のライブみたいな感じでしたもんね。

 

額田:でも今回はかなり特殊ですよ。ほぼないと思います。

 

西本:でもああいう環境でジャズを聴くこと自体が、すごい新鮮で、ほんとにそれが楽しかった。こういう環境でジャズを聴くのもいいなって。なんかジャズってこうでしょ、みたいなところに入っていって、そこに同化して、小綺麗な服着て聴きに行く、みたいなのだとちょっと聴き辛いですけど、行ってみて、聴いて、「あ、これジャズなんだ!」っていう出会い方は、すごい良いと思いました。

 

額田:そういう点では、元々、今回のライブをどうするかって考えた時に、オールドジャズのイメージをできるだけ覆しつつも、伝統的なジャズも大事にしているというスタンスを伝えたいな、というのがあったんです。スタンディングっていうのは(ジャズライブでは)あんまりないし、客層がすごい若くて・・・来場者の半分ぐらいは若い人だったので、嬉しかったです。

 

杉浦:ほんとにそれはよかったよね。で、西本さんみたいに思ってくれるっていうのが今回の一番の狙いだったわけだから、すごいよかったよね。

 

西本:その点は、すごい成功しているなと思いました。あれだけ若い人を集められるっていうのは・・・!

 

額田:ありがとうございます。制作としては嬉しい・・・(笑)

 

細井:ももちゃんと演出についてどうするかを考えている時に、「ジャズって決まりみたいなのってあるんですかね?」って話になった時があって。例えば、まずテーマっていうのがあって、それに合わせてソロを回すんですよ、とか、ドラムのブレイクがあったり、ソロの後は拍手があったりするんですよ、とか言ったんですね。で、その時にももちゃんに「なんで拍手するんですか?」って聞かれて。よくわかんないんですけど、拍手するんですよって答えて。(笑)・・・少なくともあの場所は、行く前にそういう決まりみたいなものを気にしなくて良さそうな空気があって。最初のとっかかりとして日本中でそんな感じのことができたら、実体験としてのジャズがもっと広まっていくのかもなって思いました。拍手の必要性は、その後にひっついてくるというか。私は友人に連れられて初めて生のジャズを聴く前の日に、ドレスコードやライブの掟みたいなものをネットで調べてから行きました。(笑)

 

 

・最後に

 

額田:最後なんですけど、クラウドファンディングでご支援して頂いた方、来場して頂いた方に一言お願いします。

 

細井:若者達だけではできないことをやらせて頂いて、本当にありがとうございます。「これ、続けていくよね?」というコメントをありがたいことに頂いていて、良いプレッシャーに感じています・・・。「何やってんだ、あいつらは。」という目で見守ってもらえたらな、と思います。

 

西本:自分たちで試行錯誤できる場を与えてくださって、本当に感謝しています。(JAZZ SUMMIT TOKYO SUMMER FESTIVALの)初回として、次につながるイベントだったなと思います。本当にありがとうございました。
 


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私のいる空間が、
ミュージシャンの音で、
ぐにゃりと、すぱっと、どかんと、ぎゅっと、
変化する。


空間が変化する瞬間、それを味わえるのがライブではないでしょうか。


空間の変幻自在さ。

その一端を担うのが演出で。
まさに今回のお二人は、ふわりときらりと、空間を変えていたと思います。
本当にありがとうございました!



今回は以上です!
またしばらくしたら更新するのでお楽しみに!それでは!


JAZZ SUMMIT TOKYO 広報 杉浦


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